路線価をgoogle mapから見る方法

相続税や贈与税において土地の評価をする際に路線価図というものを参照して計算を行います。これは国税局が毎年発表するもので国税局HPから見ることができるのですが、これがまた非常に見づらいのです。

土地勘のある場所であればまだ分かるのですが、全く知らない場所ですとほんとうに大変です。住所検索や拡大・縮小なんかも出来ないため、まずはグーグルマップ等で場所を見つけてそれを参照しながら何とか探し当てるしかありません。なのでグーグルマップで路線価が見れたら便利なのになぁと思っていたところ、便利なサービスを提供してくれている方がいました。

それがこの「rpamap.jp」です。開くと見慣れたグーグルマップの地図が出てきまして、本家と同じような操作が可能です。そして地図の所々には公示地価を示す赤い丸がありまして、そこをクリックすると左側に「地図情報」と「ポイント情報」が表示されます。ポイント情報は価格や地積・容積率・地価の推移まで見ることができます。

で、肝心の路線価はというと左上にある「全国地価マップ」というボタンを押すと別サイトに飛びますがそちらで路線価を確認することができます。直接国税局の路線価ページに飛ぶわけではないのですが、とりあえず路線価を確認するだけならこれで充分です。

路線価だけならリンク先の全国地価マップで検索して確認も出来るんですが、rpamapの良いところはグーグルマップと連携しているのでより探しやすいということと、地図上で距離や面積の測定が出来る事です。地図の上に距離測定・面積測定とあるのでそれを押して範囲指定すると自動で測定結果が出ます。申告時は現地での測量が必須ですが、簡易的な評価であればとりあえずはこの測定でも何とかなりますね。あとは航空写真で現地の状況が見られるのも利点です。これらのことはgoogle map単体でも出来ることなのですが、その機能に路線価図へのリンクや公示地価が組み合わさったことで、このサイト一つで色々見ることができるようになります。

税理士はもちろん不動産業界の方や物件の購入を検討している方なんかも利用してみてはいかがでしょうか。製作委員会の方、更新作業頑張ってください。

競馬の外れ馬券は経費に認定!

以前のブログ記事に「競馬の外れ馬券は経費か!?」を書きましたが、その裁判が終わったようです。

裁判の結果、今回のケースに関してはハズレ馬券も経費に認めるという判決となりました。そのため課税額は約5億7000万円から約5200万円に減少しましたが、無申告であること自体は変わりませんので有罪判決となっています。

この裁判で論点となったのは競馬の配当が一時所得か雑所得になるかという点です。基本的にはギャンブル等での儲けは一時所得なのですが、「被告の場合は一般的な馬券購入行為と異なり、機械的・網羅的で利益を得ることに特化していた」とし、先物取引などと同じ「雑所得」として認定されました。

一時所得の場合収入から引ける経費は「収入に直接要した金額」(当たった馬券の購入費用)のみであるのに対し、雑所得の場合は外れ馬券の購入額や競馬ソフトのデータ利用料も経費となるので、トータルでの儲けに対してのみ税金が課せられます。

前回の記事で雑所得か事業所得に認定するのが落とし所と予測していましたが、やはりそのようになったようですね。ですが今回のケースは機械的・網羅的な取引であったがゆえに雑所得となったものであり、通常のパチンコや競馬といった娯楽としての購入では一時所得となります。また仮に雑所得になるような買い方だったとしても損失を出して他の給与等の所得と相殺することはできませんのでご注意ください。

今回の判決は事実上の勝訴ではありますが、懲役2ヶ月の有罪判決でありますし会社も退職を余儀なくされたようです。ですが競馬でこれだけ儲けられる仕組みを生み出した才覚があるのですから、これを生かして事業でも起こして再起していただきたいものです。

配当控除の損益分岐点

配当控除について「特定口座で源泉徴収あり」の人は、課税所得330万円未満の人は確定申告をしたほうがいいと言われています。

上場株の配当金を受け取った場合10%(所得税7%住民税3%)の税金が源泉徴収されているので、確定申告の必要はありません。しかし、総合課税として敢えて確定申告をして配当控除を受けることによって、所得によっては有利なケースが有ります。ここでは所得別に具体例を上げて計算してみたいと思います。


<課税所得330万以上>
課税所得(各種控除後の所得)が330万を超える場合、所得税は20%、住民税は10%となります。
配当控除の10%を引いても税率のほうが高いため、申告をすべきではありません。


<課税所得195万~330万>
課税所得195万以下の場合、所得税は10%、住民税は10%となります。
例えば配当所得が10,000円あったとします。
この時所得税は10,000円×10%=1,000円。
所得税の配当控除も10%ありますので配当控除額が1,000円。
したがって、所得税の場合、配当所得を申告すれば配当所得分の所得税はゼロになります。

一方で住民税は10,000円×10%=1,000円。
住民税の配当控除は2.8%なので、控除額280円
したがって、住民税の場合、配当所得を申告すれば配当所得分の住民税は720円になります。
つまり、配当所得を確定申告で総合課税で申告すれば、所得税はプラスマイナスゼロ、住民税の増加分は720円となり、源泉徴収された1,000円に比べ280円得することになります。
税金のみで検討するなら申告したほうがお得です。

ただし、国民健康保険に加入している場合、所得に応じて健康保険料が増えてしまいますのでその場合はどうなるでしょうか。
健康保険の率は居住している市区町村によって異なりますが、私が住んでいる大田区では所得×6.28%+均等割となっています。
そのため10,000円の配当所得に対し628円増加してしまい、税金の浮いた分を考慮しても348円の損となってしまいますので申告しないほうが良いですね。


<課税所得195万以下>
課税所得195万以下の場合、所得税は5%、住民税は10%となります。
上記の例で計算をすると、所得税の還付が500円、住民税の増加は720円となり、源泉徴収された1,000円に比べ780円得することになります。
また、この場合は国民健康保険に加入していたとしてもまだ152円の得となります。さらに言うと増えた健康保険は翌年の社会保険料控除に使えますので、トータルでは174円のお得ということになります。
配当が少額であれば手間がかかる割に大してお得ではありませんが、多額の配当収入があれば是非ご利用ください。


<注意事項>
・申告書作成の際は第二表住民税欄の「配当割額控除額」に3%分の住民税額を記載しましょう。
・家族の扶養に入っていたり、所得が増えるとデメリットが有る場合(保育園の要件等)は、基準額を超えてしまわないか確認して申告しましょう。
・年間税額(㉗)が配当控除(㉘)を下回る場合は結果が変わりますので試算してご確認下さい。

確定申告の無料相談

私が所属する東京税理士江東西支部では、1/31~3/15の期間、確定申告の無料相談会を開催しています。2/13までは富岡区民館や豊洲文化センターにて行って来ましたが、2/18以降は江東区役所にて行われます。詳細は「税理士による所得税及び消費税の無料申告相談のご案内(PDF)」を御覧ください。

私も2日ほど参加して来ましたが、ほとんどが給与・年金・医療費控除といった簡易なものでした。そのため申告書の難易度的は易しいのですが、この会場では手書きで申告書を作ることになります。実務を始めてからこれまでずっとパソコンのソフトで作成してきたため、手書きでの申告書の作成に慣れておらず、適用される控除額や税率などを確認しながらの作成となりました。

日頃パソコンやケータイばかりを使用し手書きをしなくなったこの頃は、たまに手書きをすると漢字を忘れたり書いていて不安になったりしますがそんな感じでしょうか。たまには手書きで作成して基本を思い出すのも必要かもしれませんね。

当事務所も30分程度までは無料相談を受け付けておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

不正還付を利用した脱税指南で逮捕

副業で赤字が出たと装うよう顧客の会社員らに指南し、所得税を不正に還付させたとしてコンサルタント会社「グローバルワークス」の本多弘樹容疑者(34)が逮捕されたニュースが有りました。

こういった副業で赤字を作って還付を受ける、という話は時折耳にします。要は売上を数10万程度計上し、経費を何百万も計上して赤字を作り、本業の給料と相殺させて本業の税金を還付するわけです。

もちろん業種によっては立ち上げ時に多大の経費がかかり、結果として赤字になってしまうケースはあるのですが、今回の事件では「架空の副業」とあるのでまっとうに事業をせずにあくまで脱税するために事業をしている形を取ったものと思われます。そして自宅の家賃や個人的な飲み会を交際費として計上したり、場合によっては架空経費の計上もしていたかもしれません。ニュースによると100人以上のサラリーマンに総額4,000万とのことで、一人あたりでは40万程度とそこまで派手にはやっていないようですが。

私が気になったのは指南していた社長の存在が発覚した理由です。このコンサル会社のホームページを見てみたのですが、不正還付の手法は記載されておらずサイトから発覚した事は無さそうです。また税理士でもないので申告書の税理士欄に名前を記載しないでしょうし調査にも立ち会っていないでしょう。

私も税理士として安易な脱税は戒めつつ、正しい知識できちんとした節税プランをご提案していきたいと思います。

源泉所得税の改正(復興特別所得税)

そろそろ1月の給与支払の時期ですね。固定給の人も今回の給与明細をチェックしてみてください。手取りが少し減っているかと思います。

25年1月から復興特別所得税として通常の所得税に2.1%を掛けた額が上乗せされました。例えば税率10%だとすると10.21%、20%であれば20.42%です。率自体はあまり大きくないですが、期間が25年間とかなり長期間にわたって上乗せされます。これは所得税全般に上乗せされるため、給与だけではなく利子・配当・報酬といったものの源泉税にも影響が及びます。

経理の方であれば利息の源泉税に要注意です。利息の源泉税は所得税15%・住民税5%だったものが、所得税15.315%・住民税5%に変更となりました。これにより0.8で割り返していた利息額の計算が、入金額÷0.79685で計算することとなります。

具体的な例としては

利息総額は800÷0.79685=1003円(1003.953…)
所得税は1003円×0.15315=153円、
住民税は1003円×0.05=50円 となります。

これが80円の入金額だと改正後でも利息100円、所得税15円、住民税5円となり改正前と変更ありません。なので利息入金額が小さければ影響ないのかと思い計算してみましたが、51円以上で利息額に、27円で源泉税に影響が出てしまいます。26円以下であれば今までどおりの割戻し計算で大丈夫ということになります。

また報酬の源泉税も変更となります。弁護士・税理士司法書士と言った士業の方は1月分の請求書から源泉額が10%から10.21%(報酬額100万以下)となります。

今回の改正は金額こそ大きくありませんが、影響の範囲が広く、期間も長いため注意が必要ですね。