配当控除の損益分岐点

配当控除について「特定口座で源泉徴収あり」の人は、課税所得330万円未満の人は確定申告をしたほうがいいと言われています。

上場株の配当金を受け取った場合10%(所得税7%住民税3%)の税金が源泉徴収されているので、確定申告の必要はありません。しかし、総合課税として敢えて確定申告をして配当控除を受けることによって、所得によっては有利なケースが有ります。ここでは所得別に具体例を上げて計算してみたいと思います。


<課税所得330万以上>
課税所得(各種控除後の所得)が330万を超える場合、所得税は20%、住民税は10%となります。
配当控除の10%を引いても税率のほうが高いため、申告をすべきではありません。


<課税所得195万~330万>
課税所得195万以下の場合、所得税は10%、住民税は10%となります。
例えば配当所得が10,000円あったとします。
この時所得税は10,000円×10%=1,000円。
所得税の配当控除も10%ありますので配当控除額が1,000円。
したがって、所得税の場合、配当所得を申告すれば配当所得分の所得税はゼロになります。

一方で住民税は10,000円×10%=1,000円。
住民税の配当控除は2.8%なので、控除額280円
したがって、住民税の場合、配当所得を申告すれば配当所得分の住民税は720円になります。
つまり、配当所得を確定申告で総合課税で申告すれば、所得税はプラスマイナスゼロ、住民税の増加分は720円となり、源泉徴収された1,000円に比べ280円得することになります。
税金のみで検討するなら申告したほうがお得です。

ただし、国民健康保険に加入している場合、所得に応じて健康保険料が増えてしまいますのでその場合はどうなるでしょうか。
健康保険の率は居住している市区町村によって異なりますが、私が住んでいる大田区では所得×6.28%+均等割となっています。
そのため10,000円の配当所得に対し628円増加してしまい、税金の浮いた分を考慮しても348円の損となってしまいますので申告しないほうが良いですね。


<課税所得195万以下>
課税所得195万以下の場合、所得税は5%、住民税は10%となります。
上記の例で計算をすると、所得税の還付が500円、住民税の増加は720円となり、源泉徴収された1,000円に比べ780円得することになります。
また、この場合は国民健康保険に加入していたとしてもまだ152円の得となります。さらに言うと増えた健康保険は翌年の社会保険料控除に使えますので、トータルでは174円のお得ということになります。
配当が少額であれば手間がかかる割に大してお得ではありませんが、多額の配当収入があれば是非ご利用ください。


<注意事項>
・申告書作成の際は第二表住民税欄の「配当割額控除額」に3%分の住民税額を記載しましょう。
・家族の扶養に入っていたり、所得が増えるとデメリットが有る場合(保育園の要件等)は、基準額を超えてしまわないか確認して申告しましょう。
・年間税額(㉗)が配当控除(㉘)を下回る場合は結果が変わりますので試算してご確認下さい。

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