仮想通貨の確定申告

新年早々、仮想通貨の申告を税務署が目をつけているとのニュースがでましたね。

「ビットコイン」など仮想通貨の急激な値上がりを受け、国税当局は多額の売却益を得た投資家らの調査を始めた。数千万~数億円の利益を得た投資家らをリストアップ。2018年の確定申告に向け、取引記録や資産状況をデータベースにまとめ、税逃れを防ぐ考えだ。仮想通貨をめぐる本格的な情報収集への着手は、初めてとみられる。(朝日新聞デジタル)https://www.asahi.com/articles/ASKDP7G3JKDPPTIL03N.html

記事内にもありますが、昨年は仮想通貨が急騰した1年で1億円以上を稼ぐ億り人も数多く誕生したようです。お客様からのご相談も出始めて、私自身も実際に仮想通貨の購入を行いました。
世界中で発行される仮想通貨ですが、日本では早くから規制及び制度化を行い、税制面でもタックスアンサーやFAQを通じて処理方法が示されました。簡単にまとめると次のようになります。

・売却(換金)、他通貨との交換、使用(商品との交換)、マイニング(採掘)時に損益を認識する。
・所得税では基本的に雑所得に分類される
・ただし事業者が決済手段としてしている場合と、その収入で生計を立てているといったように事業として行っている場合は、事業所得に分類される。

ここで重要なのが雑所得であるという点です。
雑所得の特色としては「税率が最高55%」「他の所得と相殺できない」「直接かかった経費以外差し引けない」「赤字の繰越ができない」という点があります。

所得が高いので税率が高くなってしまうのは仕方ないとして、他の3点について理解しておかないと納税ができなかったり、最終的にお金が残らないといったことも起こりえます。

・利益が出たので、経費にするつもりで飲み会や買物をしたが経費にならないので納税資金がなくなった。
・利益が出たので築古の不動産を購入して不動産の赤字と損益通算しようとしたができなかったため納税資金がなくなった。
・通貨間の交換をしたことで多額の利益が出たが、日本円に換算しないまま相場が下落してしまい、仕方なく仮想通貨すべて日本円に替えてして納税した結果、資金がマイナスになった。
・H29年に多額の利益が出て翌年に納税したが、H30年の取引では損失となってしまい、結果的に資金がマイナスになった。H31年はまた利益が出たもののH30年の損失は繰り越されないのでまた納税することになった。

特に仮想通貨は相場の上下変動が激しいため、ある年では利益が出ても翌年に大暴落といったことも起こりえます。こういった税制面のリスクを抑えるには気をつける点が幾つかあります。
・利益が出たら納税額を予測して納税資金を確保しておく。
・中途半端な益出しを行わない。多額の利益を出したなら手仕舞いするつもりで。
・含み損が出たとしても仮想通貨を続けるのであれば損失はださずに塩漬けにする。
・事業所得で申告できないか検討する。
・法人を設立して法人として仮想通貨を保有する。

税制面のリスクを認識しておかないとあとで痛い目にあう事がありますので十分ご注意ください。仮想通貨の申告やご相談などございましたらお気軽にご相談ください。

相続した空き家を売却した時の特別控除

 毎年、年末に翌年度の税制の改正案が発表されるのですが28年度の税制大綱の中から一つブログでご紹介いたします。

所得税の「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設」です。

 これまでも自宅を売却して利益が出た場合でも3,000万を差し引くことができ、3,000までの利益であれば税金が生じない制度がありました。
 今回発表されたのは、親などが住んでいた居住用不動産を相続し、空き家になった家を売却した際にも3,000万を差し引けるという制度です。

 これまで親が住んでいた家を相続したものの、空き家としたまま放置しているといったケースもよく見られましたが、こういった増加する空き家対策の一つとして導入されました。

ただし控除を受けるには下記の要件全てを満たす必要があります。

①昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等の区分所有建築物を除く)であること
②相続発生時に被相続人以外に居住者が居なかったこと(一人暮らししていて相続発生により空き家になったこと)
③譲渡をした家屋又は土地は、相続時から譲渡時まで、事業・貸付・居住の用に供されていた事がないこと
平成28年4月1日から平成31年3月31日までの間の譲渡であり、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること(平成25年1月2日以降に発生した相続が対象)
⑤家屋を取り壊して土地を売却するか、必要な耐震改修をした家屋又は家屋と土地を売却し、売却価格が1億円を超えないこと(旧耐震基準のまま家屋を売却する場合は対象外)
⑥必要書類を添付して確定申告をすること。

 古くからある土地や家屋は購入した時の金額がわからない事が多く、売却金額の5%のみが取得費として控除され、要は売却価格×95%×20%の税金が掛かるケースが多いです。5,000万で売れたとすると税額として約950万となりますが、ここでこの特例を利用できると税額が約350万となり約600万の減税となります。

 また、古くなった空き家については固定資産税も3倍~6倍に増え、保有しているだけでもかなりの税金がかかることになります。 (飴と鞭ですね)
 もし上記の条件を満たす物件を相続していたのであればこの機会での売却をオススメします。

マイナンバー

すっかり更新が途絶えてしまっているこのブログですが、久しぶりの更新です。今回は来年の1月から始まるマイナンバー制度についてのブログです。

このマイナンバー制度が自分にどんな影響があるか分からない方もいらっしゃるかと思います。基本的には給与のみをもらっているサラリーマンや、収入をきちんと申告している人は特に影響ありませんのでご安心下さい。

ですが次のような方はご注意ください

  • 給与を複数の会社からもらっているが確定申告をしていなかったり、一部を抜いている。
  • 不動産収入、講演料や公演料、夜や週末のアルバイト、株やFXといった副収入の申告をしていなかったり一部を抜いている。
  • 勤務先で所得税は天引きされているが、住民税について申告せず納めていない。
  • 常勤で働いているが会社で社会保険に加入していない。
  • 複数の会社から給与をもらっているが、そのうち給与の低いところでのみ社会保険に加入している。
  • 収入があるのにないことにして、生活保護の受給をしたり、年金や健康保険等の減免を受けている。

どうでしょう、心当たりはありますでしょうか。

これまでもこういった収入漏れのチェック体制はあったのですが、今後は番号で紐づけられるので機械的に網羅されるようになり、より捕捉される可能性が高まってくると思われます。

ここのところ「これまで申告をしていなかったけど、どうしたらいいでしょうか」といったご相談が増えてきています。

税務署などから指摘を受けてから申告をするよりも、自ら申告を行った方が罰金的なものも安く抑えられますし、申告をした方がお金が戻ってくるケースも意外と多いのです。

先ほどのに該当する方や、不安を感じているような方、ぜひお気軽にご相談ください。

外国に住む親族の扶養控除が厳格化されます。

確定申告の無料相談をここ数年やっておりますが、毎回思うことが有りました。それは外国に親族がいる方の扶養控除が多い事です。

扶養控除はざっくりと書くと①16歳以上の親族を②金銭的に援助し③その親族の給与収入が103万円以下である場合に控除が受けられるものです。

これは必ずしも同居している必要はなく、例えば遠方に住んでいる大学生に仕送りを送っていたり、田舎の両親に資金面で援助していれば、扶養になるケースも有ります。実際に親族が存在しているか、収入が103万円ないかどうか、と言うのは日本国内の親族であれば税務署が各市区町村に問い合わせることで確認できてしまうため、虚偽の申告は難しい状態にあります。これからはマイナンバー制度も始まり、更に厳格化されるものと思います。

一方で外国に住む親族については、かなりルーズになっています。実際私も確定申告の無料相談等で対応していると、外国の方から「故郷の両親や兄弟を扶養しています。」といって扶養を受けたいという相談が何件かありました。仕送りしている事実は有りますか?通帳見せてください、というお話をすると去年はそんなことしなくてもやってくれた、と言われたりもします。実際のところそれらの証明については提示が義務化されておらず、2~3人の扶養であればそれで進めてしまっていたりもしました。こういった方法が外国人コミュニティ間で広まっているようで、税の公平の観点から以前より問題視されていました。

そこで会計検査院が実態を調査した結果、7割の人が所得を0にしており、驚くことに最大で40人もの扶養親族がいるとして申告しているケースもあったようで、改善が求められました(参照:海外に多数の扶養親族、7割が所得税ゼロ 会計検査院)。そこで税務署は28年1月から①戸籍や外国の政府が発行した書類(氏名・生年月日・住所の記載があるもの)と②親族に振込をした事がわかる金融機関の書類等の提示を義務化しました(参照:源泉所得税の改正のあらまし)。

これにより虚偽の申告は少しは減るものと思われますが、実際に親族に仕送りをしていた方もいらっしゃると思います。政府が発行した書類を揃えるのは容易ではなく、確定申告の相談会の現場などで混乱が予想されますが、確定申告だけでなく年末調整でも同様の書類提示が求められますので、一般企業でも年末調整の時期に同様の事が起こるかと思います。従業員の中で外国の親族を扶養しているケースがある場合、あらかじめ上記の改正内容を伝えて頂き、準備をしてもらったほうが良いですね。

国税庁職員装いキャッシュカード搾取!?

すっかりブログの更新が止まってしまって申し訳ないです。今年はたくさん更新すると宣言してたはずですが…。とりあえず月1程度には更新して行こうと思います。

さて久々のブログテーマはこちらの日経新聞の記事から。

 偽の身分証を提示して国税庁の職員を装い、キャッシュカードをだまし取ろうとしたとして、警視庁池袋署は17日までに、住所不定の自称コンサルタント、当金勝容疑者(51)を有印公文書偽造・同行使と詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕した。

逮捕容疑は8月15日、東京都豊島区のマッサージ店で経営者の男性(29)に「店内をガサ(家宅捜索)します」と告げ、偽造した「国税庁国税局特別国税調査官」と記した身分証や捜索令状を提示。差し押さえ名目で男性からキャッシュカード1枚を詐取しようとした疑い。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17H01_X10C14A8CC1000/

搾取したキャッシュカードで現金を引出していたそうで、他に30件ほどやっていたようです。

確かに国税局から強制調査・査察を受けた場合、突然やってきて様々な資料を回収して行くためその中でキャッシュカードも求められたら渡してしまう気持ちはわかります。しかもこのケースでは身分証や礼状も偽造していたようですし。

疑わしいのはキャッシュカードまで持っていくという点とガサ入れの割に人数が少ない(この事案では一人でやっていたと思われる)という点ぐらいでしょうか。実際にガサ入れされてしまってはそんな冷静でもいられないでしょうし、初めての経験で言われたまま何でも出してしまうかもしれませんね。ましてや複数のグループでやられたら疑う余地はほんとに少ないかもしれません。

予防策としては税理士を呼ぶまで査察を待ってもらうことでしょうか。本物の査察だったとしても税理士に来てもらうまで待ってもらうと言うのは大事なことですが、偽物の場合も充分抑止力になるかとは思います。あとは身分証や礼状をよく確認したり怪しい時は税務署に確認を取ることも必要かと思います。

こういう詐欺事件も有るということを広く周知することも大事かな、と思い久々にブログに書いてみました。という訳で皆さんご注意下さいね。

 

確定申告無料相談会(江東西税務署管内)

そろそろ確定申告の時期が近づいてきましたね。税理士にとっては1年で一番忙しい時期になりますが、確定申告をする方にとっても悩ましい時期かと思います。申告書の作成でお困りの時は是非無料相談会へお越しください。

確定申告の時期は各地で無料相談会が開催されますが、私が所属する江東西税務署管内でも1月30日~3月17日にかけて富岡区民館・豊洲文化センター・江東区文化センターの3箇所にて行われます。詳しい日程と場所はこちらのサイトにてご確認ください。

昨年はこの期間中に2日間の参加でしたが、今年は税理士会の指導部グループメンバーに加わっているため日数増えて7日間参加予定です。大島の無料相談も有りますので今年の確定申告はなかなか厳しいスケジュールになりそうですが、作業を前倒しで進めて何とか乗り切りたいと思います。